2007年05月05日

20年前の浪人生

 小学館の『ビッグコミックスピリッツ』がまだ月2回刊だった20年以上前、人気の連載漫画だった「めぞん一刻」が、今になってまたテレビドラマ化されると聞いて少し驚いた。というのも、原作の設定があまりにも古いからだ。都会の汚い下宿で一人暮らしする浪人生なんて、今どきどれほど存在しているのだろうか。ちなみに、工学院大学の学生に占める浪人生の割合は、私が勤め始めたころにはまだ半数近かったはずだが、今では2割もいないだろう。大学全入時代になって浪人生の絶対数は明らかに減っている。今や、あえて「浪人すること」を選択するのは、志望校に強いこだわりをもつ場合に限られるようになった。
 さらに、住環境も、共有スペースが豊富な開放的下宿スタイルから、一部屋ごとの独立性を高めたワンルームマンション型へと移り変わった。管理人も、大家さんの家族などではなく、管理会社の職員が勤めているケースが多いだろう。携帯電話は必須だし、インターネット回線もないと受験大学の情報を知るのに不自由する。
 大学生だって同じことだが、基本的には普段は身一つで生活し、必要なものはそのたび調達するという暮らし方が、とても選びにくいものになっているのだと思う。ユニットバス付の部屋が増えると銭湯が立ちゆかなくなってつぶれる。そうすると、風呂無しで居住する「自由」が失われていく。平均的な豊かさが向上する中で、それについていけないと明らかに不自由になってしまうという事態はあちこちで起こっているに違いない。数人で一部屋借りるという共同生活や、いっそネットカフェで暮らすというスタイルが出てくるのも、理解できることだ。
 ちなみに、数人で一部屋借りるという話は、これまで何人かの学生から聞いた。それぞれが携帯電話をもっているので、実際に住んでいるところに行ってみるか、あるいはわざわざ言わなければ、友人たちも気づかないのだそうだ。
 ちなみにちなみに、最近どこかでこの雑誌を見て驚いたことは、「美味しんぼ」はともかく、「気まぐれコンセプト」がいまだに続いているということだった。

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